2012年4月1日日曜日

【書評】【ネタバレ】ゼロクーポンを買い戻せ

ゼロクーポンを買い戻せ (新潮文庫)
ポール アードマン
新潮社
売り上げランキング: 171836

2012年3月10日土曜日

不胎化QEってなんですか…

3/8の話ですが、Bloombergにこんな記事がでていましてですね…

FRBが「不胎化」QE検討、新たな措置必要な場合-WSJ

いやいやちょっと待ちたまえよ。不胎化したらQEじゃないからw

ネタ元はWSJのようなので探してみたところ

'Sterilized' Bond Buying an Option in Fed Arsenal

なる記事がありました。

ふむ。債券買入の一方で、その資金はリバースレポで吸収することで不胎化するとな。カネをドバドバ出しっパにしてインフレになったらいかんという理屈のようですね。
あるいは、過剰流動性を供給したことにより中南米にホットマネー流入、その後の崩壊を招いたという意識もありやなしや。

ご存知の通り、現在FEDは「オペレーション・ツイスト」を行っているわけです。短いゾーンを売り長いゾーンを買うという政策。FEDのバランスシートを拡大することなく長い金利を潰すことで直接/間接に住宅市場を支援しようというオペレーションかと思います。売られた短いゾーンの金利が跳ねないように、FEDは「2013年まで」「2014年まで」と期間を切って時間軸を強化してきたわけです。まぁこれも時間軸「めいたもの」ではあるわけですが。

ここでReutersの記事をひとつ

米FRB、追加量的緩和実施の場合は不胎化を検討=報道

”同紙によると、FRBは国債買い入れを通して市場に投入した資金を、短期的に低金利で市場から借り入れる可能性がある。これにより資金が市場から引き揚げられ、買い入れを不胎化することができる。”

WSJ記事にもある表現の訳ですな。要するにボンドを買う一方で資金を市場から借り入れる(すなわちリバースレポを行う)ことで市中のマネーの量を増やさないということ。

ふむ、マネーの総量を増やす(printing money)によるインフレを懸念してのアイディアのようですね。金融緩和とコモディティ相場の上昇はある種、セットのようになりつつありますし。資産効果でも何でもいいから経済が回復してくれんことには、物価上昇だけを招いてスタグフレーション、なんてことにもなりかねないわけだが。

ツイストオペの買いについては債券発行は常にあるわけですし住宅市場支援という意味ではMBSを買いまくればまぁいいんですが、売りについてはFEDが無限に短期債を持っているわけでもないのでいずれ底を尽きます。そこで考えたのが、この不胎化ということなんでしょう。

しかし、マネーマーケットに巨大な資金の取り手が現れるということは少なからぬインパクトをもたらすものと思います。日本国内で円金利に接している人間は2010年を思い出してしまうわけです。
「市場機能論」という言葉がありました。足元金利つまりマネーマーケットの機能は殺したくないという話。この辺のいきさつはゼロ金利当時の解説が必要になるんですが都合により割愛。2010年に何があったかといえば、市場機能論から足元金利にそよ風が吹き、債券相場がちょいとした急落を見せたわけです。ある方は「マーライオン」と評し、ある方は「もらいゲロ」と評しました。

先程のReutersの記事にもあるように、”2年物、3年物金利が上昇する恐れがある”と思います。足元が崩れればあとはもらいゲロが待っていますよ。


目先すぐにこの不胎化QEだかなんだかってオペレーションを導入する可能性はまだ低いかもしれませんが、リアクションチェックというか、地ならしなんでしょうね。
足元の資金需給はマーケットのスタート地点。どうハンドリングしていくのか、逆さ絵おじさんの手腕にを重大な関心をもって注視していくこととしましょうか。クレクレは当面収まるところを知らんのでしょうからねぇ。

株価やコモが気付けばエラいしっかりしてる一方でUST10yは不気味なほど2%界隈でうろちょろしてるのが足元のマーケット。2010年の日本程度のゲロゲロで済めばいいけども、VaRショック並みにゲロってしまう可能性もなくはないのかな、なんて思うんですけどね…。


本来的に、景気回復を金融政策を真に信頼するならば長い金利は上昇して何ら問題ない。足元金利を押さえつける一方でスティープニングしていくのが正しい姿ではあるんです。でも金融政策の限界というか、債券需給に手を突っ込んでフラットさせていく政策が続いています。
金融政策は長い金利をいじれない、という定説は崩れたのか、無視されてるのか。それは出口でわかることなのかなぁ。

2012年2月23日木曜日

妄想:20XX年

足元、ドル円で3桁に迫る円安の進行を好感し、日経平均株価は20,000円が射程圏内に入っている。長期金利は細かな上下を繰り返しながらも1%台後半へと上昇、なおその基調は続いている。2000年代後半にギリシャを発端として勃発したソブリン危機は各国中央銀行の流動性供給政策を受けて鳴りを潜め、市場は日を追うごとにリスクオンの色を強めていった。日本国内のマーケットでは、確かにそう見えていた…。



なんてのはまぁ3秒で思いついたフィクションです。


欧州発のソブリンクライシスが叫ばれて早数年。最近ではJGB暴落論も若干ささやかれていますね。まぁ外野を中心としてね。色々とアレな論調も多いわけですが…。


JGBのクレジットが崩れたときって何が起こるだろうか、なんてふと妄想を働かせて考えついたのが冒頭の文章です。

JGBの信任が崩れるのと利上げとどっちがどうだと言われると、どちらかというと前者の方が早そうな気がします。全くの当てずっぽうだけど。そのとき市場参加者は何を考えるのか。


「長いゾーンが安い。デュレーション長期化じゃい!」


足元金利の低位安定という前提が変わらなければ、市場はこのように考えるんじゃないかなぁ。冒頭に書いた長期金利の描写、「細かな上下を繰り返しながら」などとわざわざ入れたのは、前提が変わらずに相場が下落したときって、まずはナンピンチャンスに見えるんじゃないかという感覚があるからです。市場の住人としてのバイアスがかかった考え方かもしれませんが。

これまでにHFなんかがJGB下落に賭けたポジションを組み、その度に返り討ちにあってきた歴史はわりと有名だと思います。JGBは内国債で国内には1500兆円の金融資産があるし、その9割以上を国内でファイナンスしてるし、日本は経常黒字なんだから安泰でしょという話もよく聞きます。経常収支に関しては最近ちょっと怪しさがでてきましたが…。

さて妄想の続き。

実はこの円安も金利上昇も日本に対する信任の崩壊が原因だったとしたら…円安を材料にした株高は実はダマシで、トリプル安に突入するとしたら…。
その時々を見れば、債券市場的には押し目買いチャンスがちょいちょい来てるように見えたかもしれない。でも気付けばだいぶ金利上がってきたよね…。


的な。


頭の体操として、こういった事態を想定するのって、結構楽しいと思うんですよね。金融バカとしては。

しかしなんかこう、金利村の住人の端くれとしては、あまり冗談ではなさそうな気がするんだよなぁ…。年末にも書きましたが、JGBの寿命って少しずつでも確実に縮まってるような気がしてます。

何とかなってるうちに、何とかしないと、どうにもならなくなりまっせ。

2012年2月14日火曜日

Tdex+炸裂

いつかは見ると思ってましたが、いざ見ると一瞬何が何だかわからなくなりますね。まずはチャート。


(出所:http://n225cme.com/jgb.html)

JGB先物の5分足です。それまでのローソク足が無意味なほどぶっ飛んでるのがよくわかりますね。


(出所:http://n225cme.com/jgb.html)

日足はこんなこんな感じです。どことなくビームサーベルに見えます。

タイミングとしては、日銀金融政策決定会合で10兆円の基金増額が発表されたちょっと、後でした。追加緩和策を出してきたのはちょっとしたサプライズではありましたが、これ単品では先物を70銭とか吹っ飛ばすような破壊力のシロモノではないです。

BOJ発表直後からじりじりと買われ、おうおうまだ買うかね、と思ったところで一瞬で値がすっ飛んでいきました。板はボロボロスッカスカ。付いた高値は143.37。前日比+1円ということで久々のサーキットブレーカーかと思いましたが、きっちり1円高を付けてストンと下げたので、今回はなし。後から歩み値を見たら10銭とか普通に値飛びしてました。

Tdex+炸裂であります。

こんな値動きでまず疑うのは誤発注ですが、その可能性は薄いのではないかと思いました。というのは、Tdex+システム導入当初から話題になっていたことですが、成行でドカーンと注文入れても制限値幅(20銭でしたっけ?)に達すると、未出来が自動的にキャンセルされるという謎システムだからです(株のシステムがベースですので、流動性薄い銘柄へのインパクトを抑えるための配慮と推察)。

ここからは推測の域を出ませんが、日銀の発表を受けて中期あたりからゴリゴリ買われて、先物を売ってた人達が踏みにいって、ついでにオプションやってる人達が踏みにいって、上の方に冷やかしで入れてた売り指値が付いて更にストップロスに引っかかって、という感じで連鎖したんではないかと思います。コールオプションの値段も跳ね上がってました。

わざわざご丁寧に(?)東証から債券先物が急騰場面、東証「誤発注ではないと判断」なんてコメントもでてますねぇ。

強烈な体験でした。あの急騰を叩きにいったとしても、約定する値段はいくらだったんだ、と。正直、人間がついていけるスピードではない。ついでに言うと、現物のはわりとマイペースに気配が強くなっただけでしたw 先物が明らかに異常値でしたから、様子を見てたってのもあるかもしれないですけどね。スピード感があまりにも違うことを実感します。

想定していたこととはいえ、実際に見ちゃうとなかなかのものがありますね。これで先物の流動性落ちちゃったら、去年のTdex+導入前の杞憂が現実のものに…。

2012年2月13日月曜日

【書評】ゼロ金利との闘い

ゼロ金利との闘い―日銀の金融政策を総括する
植田 和男
日本経済新聞社
売り上げランキング: 229843

90年代後半から2000年代央にかけての金融政策についての、ちょっと論文めいた一冊。

折からの金融経済環境に対応してきた結果、金利の上下操作という伝統的金融政策の自由度が失われてきたことと、不良債権問題等々を抱えた金融機関の資本制約による金融仲介機能の低下、という2つの課題に直面しつつ日銀が取ってきた金融政策運営上の苦悩。

バーナンキ&ラインハートの論文を引き合いに出し、ゼロ金利下での一段の金融緩和政策として①時間軸政策、②特定資産の購入、③B/Sの拡大を議論しているのが印象的。その中でも特に時間軸政策についてページ数を割いて解説している。
名目の金利に引き下げ余地がなくなり、時間軸を延長、その結果としてのリスクプレミアムの圧縮。これってまさに今起きてることじゃないか。

リーマンショック時に、流動性の枯渇やクレジットの爆発を経験したわけだけど、その後の構図は、本書の議論とあまり違いはないのだなぁ。政治がプアで政策効果が減衰されてしまったとさりげなくdisってる(ように読めるw)のも、今と変わらんですね。

中銀ヲチャーの端くれとして、手元に置いておきたい一冊です。

2012年2月4日土曜日

映画「マージン・コール」(ちょっとネタバレしてるので要注意)


DVDがリリースされたようなので、早速観てみました。
オフィシャルサイトはこちら→Margin Call | Official Site


「Be careful.」

この一言から始まる壮大な金融パニックストーリー。



…じゃないです、全然w
というか、そういう風には描かれてない、という感じ。


舞台はウォール街の投資銀行、ネタは住宅ローン債券のMBS。観てればわかるんですが、どことなくリーマンをモデルにしてる感があります。

アセットを過剰に抱え込み、価値が目減りすると会社を吹っ飛ばすほどの損失がでることがわかってしまったのでさぁ大変。エラいさんが集まって夜通し会議した結果、全てのポジションをブン投げるという苦渋の決断を下す。そのプロセスが話の本筋です。

全体通してピリッとした緊張感が漂い、一気に観れちゃいます。某お金は眠らないウォール街映画とは違ってそこがいいですね。キャラクターそれぞれが結構な社畜感を醸し出してるのも、いい感じですw

でも、マーケットに大混乱をもたらすであろうブン投げシーンはもっと盛大に描くべきじゃないかな、と思いましたね。ものの数秒であっさり終わっちゃって、それまでの緊張感がきれて、尻すぼみにエンドロールが流れます。ラストは「えぇっ!?」って声が出ちゃいました。ハゲタカのクライマックスぐらいの雰囲気が欲しかったかな。


金融屋としてはヒリヒリするような緊張感を映画として楽しめましたが、まぁこれは一般公開はされないわなぁという感じw

予告編冒頭に出てくるリストラされちゃうおっちゃん、どことなくバーナンキに似てる気がするのは気のせいでしょうかね。あと主人公というかサイエンティスト上がりのアナリストが、パックンに似てる。結論としては、デミ・ムーアロング。

2012年1月16日月曜日

カーブで遊ぶ



債券のディーラーはそりゃ毎日飽きもせず債券を売買しているわけですが、その手法のひとつに「カーブプレイ」なるものがあります。イールドカーブが寝たり(フラット)起きたり(スティープ)するのを利用して儲けましょうというやつです。


※データは適当

要するにカーブの中で割高ゾーンをショートして割安ゾーンをロングするという、一種のアービトラージみたいなもんですね。


※データは適当

このチャートは各年限ごとの利回りのスプレッドの推移の例。単位はベーシスポイント(1bp=0.01%)です。値が大きくなるほどカーブがスティープ、小さくなるほどフラットしているということ。
5y-10yのカーブはこのチャートの期間の中では下限レベルまでフラットニングしているということで逆張りの5yロング10yショート、とか、10y-20yはまだフラットする余地がありそうだから10yショート20yロング、とか、このふたつを組み合わせて5y-10y-20yでポジション作るとか、そんなことを考えるわけです。また7y-10yのスプレッドがあまり動いていない部分はつまり、7y(≒先物)と10yがパラレルに動いているということです。

毎日毎日、血眼になって割高割安を探しにいっちゃぁポジション作って、カーブの動きに一喜一憂して、時には自分に不利な方向にカーブが動いて股裂き食らったりしてるわけです。身体に悪いお仕事ですよw