2012年3月10日土曜日

不胎化QEってなんですか…

3/8の話ですが、Bloombergにこんな記事がでていましてですね…

FRBが「不胎化」QE検討、新たな措置必要な場合-WSJ

いやいやちょっと待ちたまえよ。不胎化したらQEじゃないからw

ネタ元はWSJのようなので探してみたところ

'Sterilized' Bond Buying an Option in Fed Arsenal

なる記事がありました。

ふむ。債券買入の一方で、その資金はリバースレポで吸収することで不胎化するとな。カネをドバドバ出しっパにしてインフレになったらいかんという理屈のようですね。
あるいは、過剰流動性を供給したことにより中南米にホットマネー流入、その後の崩壊を招いたという意識もありやなしや。

ご存知の通り、現在FEDは「オペレーション・ツイスト」を行っているわけです。短いゾーンを売り長いゾーンを買うという政策。FEDのバランスシートを拡大することなく長い金利を潰すことで直接/間接に住宅市場を支援しようというオペレーションかと思います。売られた短いゾーンの金利が跳ねないように、FEDは「2013年まで」「2014年まで」と期間を切って時間軸を強化してきたわけです。まぁこれも時間軸「めいたもの」ではあるわけですが。

ここでReutersの記事をひとつ

米FRB、追加量的緩和実施の場合は不胎化を検討=報道

”同紙によると、FRBは国債買い入れを通して市場に投入した資金を、短期的に低金利で市場から借り入れる可能性がある。これにより資金が市場から引き揚げられ、買い入れを不胎化することができる。”

WSJ記事にもある表現の訳ですな。要するにボンドを買う一方で資金を市場から借り入れる(すなわちリバースレポを行う)ことで市中のマネーの量を増やさないということ。

ふむ、マネーの総量を増やす(printing money)によるインフレを懸念してのアイディアのようですね。金融緩和とコモディティ相場の上昇はある種、セットのようになりつつありますし。資産効果でも何でもいいから経済が回復してくれんことには、物価上昇だけを招いてスタグフレーション、なんてことにもなりかねないわけだが。

ツイストオペの買いについては債券発行は常にあるわけですし住宅市場支援という意味ではMBSを買いまくればまぁいいんですが、売りについてはFEDが無限に短期債を持っているわけでもないのでいずれ底を尽きます。そこで考えたのが、この不胎化ということなんでしょう。

しかし、マネーマーケットに巨大な資金の取り手が現れるということは少なからぬインパクトをもたらすものと思います。日本国内で円金利に接している人間は2010年を思い出してしまうわけです。
「市場機能論」という言葉がありました。足元金利つまりマネーマーケットの機能は殺したくないという話。この辺のいきさつはゼロ金利当時の解説が必要になるんですが都合により割愛。2010年に何があったかといえば、市場機能論から足元金利にそよ風が吹き、債券相場がちょいとした急落を見せたわけです。ある方は「マーライオン」と評し、ある方は「もらいゲロ」と評しました。

先程のReutersの記事にもあるように、”2年物、3年物金利が上昇する恐れがある”と思います。足元が崩れればあとはもらいゲロが待っていますよ。


目先すぐにこの不胎化QEだかなんだかってオペレーションを導入する可能性はまだ低いかもしれませんが、リアクションチェックというか、地ならしなんでしょうね。
足元の資金需給はマーケットのスタート地点。どうハンドリングしていくのか、逆さ絵おじさんの手腕にを重大な関心をもって注視していくこととしましょうか。クレクレは当面収まるところを知らんのでしょうからねぇ。

株価やコモが気付けばエラいしっかりしてる一方でUST10yは不気味なほど2%界隈でうろちょろしてるのが足元のマーケット。2010年の日本程度のゲロゲロで済めばいいけども、VaRショック並みにゲロってしまう可能性もなくはないのかな、なんて思うんですけどね…。


本来的に、景気回復を金融政策を真に信頼するならば長い金利は上昇して何ら問題ない。足元金利を押さえつける一方でスティープニングしていくのが正しい姿ではあるんです。でも金融政策の限界というか、債券需給に手を突っ込んでフラットさせていく政策が続いています。
金融政策は長い金利をいじれない、という定説は崩れたのか、無視されてるのか。それは出口でわかることなのかなぁ。

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