2012年12月30日日曜日

チャートで振り返る2012年

ただただチャートを貼るのみ(´∀`)


まずは債券金利関係から。

 春と冬に軽くマーライオンをキメたJGB先物。
2年は心停止ですな。10年からゴリゴリ買われた様子が分かりますね。超長期(右軸)は色々と物申してる感。
主要どころの10年債イールド。終わってみれば、春先にロングしたヤツがエラかったと。
しかしまぁこう見ると、JGBってやっぱり安全資産()なんですかね。
欧州問題児軍団。ギリシャwwwというところではありますが、だいぶ落ち着きましたね。
何かと揺れたLIBOR。この話は来年も続くでしょうね。


続いて為替周り。
なんだかんだと確りじゃないですか。80割れでオージーを買い損なったのが不覚です。

チャートの都合、ZARは右軸、RUBは別建てで。
TRY買ってるの日本人でしょ。金利を押し下げたのも。来年はRUBもきっと(ry

続いて株とか。
これは年初を100としてどうなりましたかレース。日本株の追い上げがなかなかですがゴールドシップにはなれませんでした。
ファンド3種盛り合わせ〜Topixをそえて〜
JF凄いな。みんな大好きひふみ投信、派手さはないけど安定感。

その他、趣味の世界。
これは通貨のチャートと重ねたほうが面白かったかもしれませんね。

何とも微妙なAAPL。
今年もよう笑わせていただきました。来年も宜しくお願いいたします。ZNGAだけ敢えて面で描いてみる。

※個別銘柄のチョイスにはなーんの意味もございません。

欧州大コント大会やら各国で選挙やらクレクレ大騒ぎやら、盛りだくさんの2012年も終わりですね。引き続き芳しくない状況ではあるものの、色んな物事が転換点に来ているような気がしつつ、といった印象も。

クレクレは甘え、鰻は合法、よいお年をお迎えください。来年も宜しくお願い致します。

2012年10月3日水曜日

インフレ?デフレ?

「デフレ脱却にはまだまだ金融緩和が足りない。金融緩和を強化しろ。」
「それでは制御不能なインフレが…」
「そんなことを言ってるからデフレが終わらんのだ。金融緩和を(ry」

以下、無限ループ。

よく見る構図ではありますね。あ、どうもご無沙汰しとります。


消費者物価指数(全国 食料及びエネルギー除く総合 前年同月比%)のグラフ10年分。
どう見てもデフレです本当に(ry


冒頭の議論も気持ちはわからんではないです。



「金融緩和を強化」すれば「デフレは克服できる」んでしょうかね。
制御不能のハイパーインフレは歴史を紐解けばボロボロ見られるわけですけれども、もしかして今は「制御不能のデフレ」なのでは…



まぁ酒飲みの放言ですけれども。難しいことは優秀な人たちに聞いてくださいね。


さて


足元の金利は長らくゼロ近傍。資産買入等の基金という別腹まで用意して、日銀は既に日銀券発行残高を上回る国債を保有しています。他にもETFやらREITやら色んなもんを買っとるわけです。

#関連ニュース:日銀の国債保有残高が銀行券上回る、基金含め約81兆円に(Reuters)

金融政策ばっかり槍玉にあげても、麿のハの字眉毛の角度が急になるぐらいであまりアレなんじゃないでしょうかね。インフレにさえなれば全てハッピー、てわけではないでしょうし。物価だけあげるなら消費税でも一気にモリっと(ry

なんてことを書いてたら、JPM佐々木氏のこんなコラムを発見。

コラム:インフレ待望論の「危険な罠」=佐々木融氏(Reuters)

ステマではありません。


とまぁ今日はこんなところで。日銀の外債購入ネタでも一本書こうかと思ってはいますが、まだネタが練りきれてません。

クレクレは甘え。では、また。

2012年7月11日水曜日

LIBOR問題

ひさしぶりのエントリーは何やら大騒ぎになってそろそろ飽きられつつあるようなないような感じもしつつある、LIBORが操作されてた云々のお話。

既に英バークレイズのCEOが辞任、ドイツ銀行も当局の調査、UBSやCSに当局が接触、三菱UFJは在ロンドンのトレーダーが停職、などなどと報じられてますね。

バークレイズ1行で終わらない、LIBOR問題調査-FSA(Bloomberg)
てなもんで当局の鼻息も荒いですなぁ。

コトの発端はここいら界隈↓でしょうかね。
バークレイズ:ダイアモンド氏と英中銀の通話メモを公開(Bloomberg)
”それによると、市場担当ディレクター(当時)のタッカー氏はダイアモンド氏に、バークレイズの報告するロンドン銀行間取引金利(LIBOR)がなぜ最も高い水準の範囲に入っているのかを尋ねる電話を多数の政府高官から受けたと伝えた。”
”デルミシエ氏はLIBORを高水準で維持しないよう英中銀が指導したと受け止め、そのように金利報告担当者に指示したという。”

からの、このような報道↓も
英中銀副総裁:バークレイズへの指導で政府高官から圧力ない(Bloomberg)
”イングランド銀行(英中央銀行)のタッカー副総裁は、金融危機時にバークレイズなど英国の商業銀行に対しロンドン銀行間取引金利(LIBOR)を故意に低めに報告することを指導するよう、どの閣僚や政府当局者からも圧力を受けていないと述べた。”

何やら既にめんどくさいかつ色々とふじこlp;@なニオイがしますね。


そもそもLIBORとはLondon InterBank Offered Rateの頭文字を取ったもんです。
つまりはロンドンの銀行間市場において貸し手が提示する金利。ちなみに無担保ベースです。日数計算は実日数/360で計算します。10通貨について算出されてます。
これ以上の誰得マニア情報はbbalibor.comをご覧いただくとして、要するに銀行さんが他の銀行さんに「お金貸してくれーぃ」とお願いしにいった時の資金調達金利であり、短期金利の指標的な存在として認識されています。

2番目に挙げたニュースで「バークレイズが提示するLIBORが高い」をことに指摘が入っていることはすなわち、「バークレイズがファンディングに苦しんでいるのではないか」と思われることに対するツッコミという意味合いを持ちます。時はリーマンショック直後。第2第3のリーマンはどこだ、と不安になり”疑心暗鬼”という言葉がマーケットを覆っていたときのことでした。




リーマンショックを挟んだ時期の6ヶ月LIBORの比較。バークレイズの提示レートのほうがBBA集計の平均よりちょっと高いのが見て取れます。




BBAレートを基準にしたバークレイズのレートのスプレッド。3回ほどハネ上がったあと休息にスプレッドが縮小していますが、この時期に、英中銀市場担当ディレクターのタッカー氏(現副総裁)がバークレイズに直撃お電話をしたとかしないとか。


ところで、こういったニュース↓もあるわけでして
英中銀副総裁、バークレイズ債のプライシング高いと指摘=メール(Reuters)
”タッカー副総裁は08年10月26日に、バークレイズの政府保証債が英国債利回りに焼く140ベーシスポイント(bp)上乗せした水準で発行されたことに言及する題名でダイアモンド氏に電子メールを送り、メールの本文で「それは高い」と指摘した。”


「おたくんち、LIBOR高くね?スプレッド厚くね?金融システム不安煽らんでくれよチミぃ」
「やっべー怒られちったよー。とりあえずLIBOR低くすんべー」


ざっくり言ってしまえばこんなやりとりがあったんだかなかったんだかということですね。
例えば銀行の信用リスクをはかるのに同期間の短期国債とLIBORのスプレッド(TEDスプレッド)を見たりしますが、その為のLIBORが操作されてあるべきリスクが織り込まれていなかったとしたら。。。と考えれば確かに不正操作ではあるわけですが、ここに中銀やら政府やらが登場してくるから非常に面倒。しかも世界中の金利の指標たるLIBORがその対象でありまして、「じゃ、別のもんに替えるわ」なんつぅわけにはいかん(この辺は今後、訴訟等々から訴求して再計算して云々なんてことになるんでしょうかね…)わけでさぁ大変。

しかしそもそも金利なんていうものは、相手によってもタームによってもサイズによってもその他諸々の環境によって千差万別なものでして、またときに「ムラ社会」などども言われるように、ある意味では阿吽の呼吸で成立してるマーケットでもありまして。
金利村に何年も住んでればその辺の感覚勘所はなんとなくわかるけど、外から見たらアヤシゲなものなのでしょうねぇ。

落ち着きどころはどこになることやら。。。


最後に、合わせて読みたい的にのご紹介
次の舞台:Tori Box http://ttori.exblog.jp/17733670/

2012年4月1日日曜日

【書評】【ネタバレ】ゼロクーポンを買い戻せ

ゼロクーポンを買い戻せ (新潮文庫)
ポール アードマン
新潮社
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2012年3月11日日曜日

あれから1年

あれから1年。まだ1年。もう1年。

「2011/3/11」という日付とその後しばらくのことは、たぶん一生忘れないと思う。私は個人は、オフィスが揺れてちょっと怖かった、PCのモニターがぶっ倒れてきた、当日は帰れなかった、休む予定だった週明けに休めなかった、そんな程度の被害で済んだ。

限月交代直後のJGB先物は、後に東日本大震災と呼ばれる地震の発生とともに瞬間的に1円以上カチ上げられた。インターバンクの売買はその後止められたが東証の先物はずっと動いていた。この対応は賛否両論であったが今に至るまでその答えは出しにくいものがある。先物は上場しているので、いわばシステムダウンさえさせなければ売買は継続可能。一方で、債券のインターバンクブローカーは商いのかなりの部分を人力でカバーしている。また、JGB先物については、他のアセットともミックスしたトレードもあるだろうし、単独で止めるべきかどうかという議論もあったわけだ。

閑話休題

円債市場の参加者には銀行や信金といった金融機関が多い。こういった緊急事態の場合、通常考えるのはキャッシュの確保だ。日銀が週明けに大量の資金供給オペを打ったのはその為。私自身、震災直後にはATMで手元にキャッシュを確保した。経済活動とは細かな活動の積み重ねである。

普通に生活していると実感しにくいことではあるけど、カネというのは常に巡っている。目詰まりを起こすと普段考えもしなかったような部位が壊死してしまう。「カネは天下の回りもの」とはよく言ったものだ。

余震が続く週末が明けて、Twitter金融クラスタ界隈の人々の決意表明が相次いだ。私はこのとき確か「市場の流動性を落としてはいけない。プライスを出し続けよう」という旨の発言をし、会社のデスクに就いた。私一人がいなくても市場全体の流動性なんかほとんど変わらんだろう。でも、そういう意気込みでいた。

売りにくる銘柄なんてだいたいわかっている。ある程度の流動性があって全国津々浦々の投資家がもっているもの。相場に何年かいれば把握してるもんだ。

色んなオーダーを受けた。先物が使い物にならなくても、JGBはそれなりに売買できた。これぞ流動性、というもんである。一般債に関しては地方債すらも一時的にドカンとワイドニングした。スプレッドの居所がわからなくなり、正直ここが一番キツかった。


ここでひとつ記事を紹介する。

俺達緩和 - 投資の消費性について

当時の記憶をありありと甦らせるエントリだ。当時感じた違和感もありありと甦る。

例えば日経平均のチャートなんかを見ると、あのときの値動きがしっかりと刻まれてる。落ちてきたナイフを果敢に掴みにいったら、結構なリターンを得られたこともまた事実としてわかる。ナイフに手を切り裂かれた人もいたかもしれないけど。個人的には、買い出動したかった一方で、JGBマーライオンの経験を重ね合わせ、二の足を踏んだ。

振り返れば絶好の買い場だった。私自身、ありとあらゆる材料を市場で消化しにいくことに何のためらいもない。地震が起きたのは事実なのだから、如何に儲けるかを考える。当たり前のことだ。

でも、あの時の盛り上がり方は妙だった。皆が「義勇軍」だった。頑張ろう日本ではないけれど、そういう感情で動いてるように見えた。強い違和感があった。とはいえ、あのとき買いに回ったひとは結果的には大勝利。それ以上のことは言わないし言えない。儲かったか儲からなかったかヤラレたか。それだけが残るのがマーケットだ。equilibristaさんのエントリを読んで、当時の感情の動きをはっきりと思い出した。


「材料」としての東日本大震災はものの数ヶ月で消化された。でも、震災の爪痕はおそらく私なんぞが思っているより遥かに大きく深いものだろう。僅かだが義援金を送った。何かの役に立てば嬉しい。あとはそうだな、14:46には黙祷をしよう。そして、それぞれがそれぞれに闘えばいいと思う。

あれから1年。まだ1年。もう1年。

2012年3月10日土曜日

不胎化QEってなんですか…

3/8の話ですが、Bloombergにこんな記事がでていましてですね…

FRBが「不胎化」QE検討、新たな措置必要な場合-WSJ

いやいやちょっと待ちたまえよ。不胎化したらQEじゃないからw

ネタ元はWSJのようなので探してみたところ

'Sterilized' Bond Buying an Option in Fed Arsenal

なる記事がありました。

ふむ。債券買入の一方で、その資金はリバースレポで吸収することで不胎化するとな。カネをドバドバ出しっパにしてインフレになったらいかんという理屈のようですね。
あるいは、過剰流動性を供給したことにより中南米にホットマネー流入、その後の崩壊を招いたという意識もありやなしや。

ご存知の通り、現在FEDは「オペレーション・ツイスト」を行っているわけです。短いゾーンを売り長いゾーンを買うという政策。FEDのバランスシートを拡大することなく長い金利を潰すことで直接/間接に住宅市場を支援しようというオペレーションかと思います。売られた短いゾーンの金利が跳ねないように、FEDは「2013年まで」「2014年まで」と期間を切って時間軸を強化してきたわけです。まぁこれも時間軸「めいたもの」ではあるわけですが。

ここでReutersの記事をひとつ

米FRB、追加量的緩和実施の場合は不胎化を検討=報道

”同紙によると、FRBは国債買い入れを通して市場に投入した資金を、短期的に低金利で市場から借り入れる可能性がある。これにより資金が市場から引き揚げられ、買い入れを不胎化することができる。”

WSJ記事にもある表現の訳ですな。要するにボンドを買う一方で資金を市場から借り入れる(すなわちリバースレポを行う)ことで市中のマネーの量を増やさないということ。

ふむ、マネーの総量を増やす(printing money)によるインフレを懸念してのアイディアのようですね。金融緩和とコモディティ相場の上昇はある種、セットのようになりつつありますし。資産効果でも何でもいいから経済が回復してくれんことには、物価上昇だけを招いてスタグフレーション、なんてことにもなりかねないわけだが。

ツイストオペの買いについては債券発行は常にあるわけですし住宅市場支援という意味ではMBSを買いまくればまぁいいんですが、売りについてはFEDが無限に短期債を持っているわけでもないのでいずれ底を尽きます。そこで考えたのが、この不胎化ということなんでしょう。

しかし、マネーマーケットに巨大な資金の取り手が現れるということは少なからぬインパクトをもたらすものと思います。日本国内で円金利に接している人間は2010年を思い出してしまうわけです。
「市場機能論」という言葉がありました。足元金利つまりマネーマーケットの機能は殺したくないという話。この辺のいきさつはゼロ金利当時の解説が必要になるんですが都合により割愛。2010年に何があったかといえば、市場機能論から足元金利にそよ風が吹き、債券相場がちょいとした急落を見せたわけです。ある方は「マーライオン」と評し、ある方は「もらいゲロ」と評しました。

先程のReutersの記事にもあるように、”2年物、3年物金利が上昇する恐れがある”と思います。足元が崩れればあとはもらいゲロが待っていますよ。


目先すぐにこの不胎化QEだかなんだかってオペレーションを導入する可能性はまだ低いかもしれませんが、リアクションチェックというか、地ならしなんでしょうね。
足元の資金需給はマーケットのスタート地点。どうハンドリングしていくのか、逆さ絵おじさんの手腕にを重大な関心をもって注視していくこととしましょうか。クレクレは当面収まるところを知らんのでしょうからねぇ。

株価やコモが気付けばエラいしっかりしてる一方でUST10yは不気味なほど2%界隈でうろちょろしてるのが足元のマーケット。2010年の日本程度のゲロゲロで済めばいいけども、VaRショック並みにゲロってしまう可能性もなくはないのかな、なんて思うんですけどね…。


本来的に、景気回復を金融政策を真に信頼するならば長い金利は上昇して何ら問題ない。足元金利を押さえつける一方でスティープニングしていくのが正しい姿ではあるんです。でも金融政策の限界というか、債券需給に手を突っ込んでフラットさせていく政策が続いています。
金融政策は長い金利をいじれない、という定説は崩れたのか、無視されてるのか。それは出口でわかることなのかなぁ。

2012年3月5日月曜日

「手口」はようワカランチ会長

先日、Twitterで、国債の「手口」(誰が売買しているのか)は、店頭取引なので、株式に比べるとわかりにくいと考えていたが、わかるものなのか、という旨の質問をいただきました。結論から言えば「推測はできるけど、集計データ等はない」と回答しました。

まず第一に取引の形態が株式とは異なります。債券の売買は店頭市場において相対で行われます。「相対取引」をggってみますと、

”売り手と買い手が市場を経由せずに、相対で交渉し、売買内容を決定する取引方法。”

という説明が出てきました(こちらのページです)。何やらグレーなニオイ漂う感じもしますが何のことはありません。取引所集中義務がないわけです。

上場株式等のように取引所取引の金融商品に関しては、プロから個人投資家まで誰もが同様の「板」を見て、証券取引所に注文を出して取引を行います。また裁定残高であったり大量保有報告であったり、先物やオプションの手口であったり、様々な情報が開示されています。
しかし債券の売買は上述のように相対取引でして、店頭で投資家さん等から受けた売買注文は、自己ポジションで受けます。日本相互証券やセントラル短資証券といったインターバンクの仲介業者は存在するものの、店頭での売買が全てインターバンクに現れてくるわけではありません。受けた玉をディーラーが”飲んで”しまえばその商いがあったかどうかは他の誰にもわからない。そんなもんを聞き出して集計するなんざ不可能です。

また、そもそも一口に「債券」と言っても、国債から地方債から財投債から金融債から事業債から、その銘柄数はあまりにも多過ぎます。日本証券業協会から日々発表される売買参考統計値というものがありますが、これをDLしてみてもらうと、その銘柄数の多さがご理解いただけると思いますが物好きな方以外はDLしても何も面白いことないと思います。
そもそも、現存する全ての銘柄が日々バンバン取引されているわけではありませんし、その全ての商いを捕捉して集計しようなんざよほどの暇人でもないかぎりふじこ

ということで、債券売買の手口として、公式な集計データなんてものは私の知る限り存在しないし存在し得ないもんではないかと思います。が、ある程度の推測は可能といえば可能です。

例えばJGBの入札の際、入札結果発表後には情報ベンダー数社が各入札参加者に聞き取り取材を行い、どの証券会社がいくら落札したのかを発表しています。あくまでも落札者の自己申告ベース、情報ベンダーの取材ベースの話ですので、その数字は参考データでしかありませんが、手口情報らしいものといえばこれでしょうか。

先ほど受けた玉をディーラーが飲んでしまえばわからない、と書きましたが、各業者は店頭売買において日々プライス争いをしてるわけで、そこでは誰が何をいくら買いにきてその引き合いを取った取られたを繰り返してるわけです。入札の日には業者は「平均落札価格での買い●●億」といった成行の注文を投資家さんから受けます。”アベ”とか呼びます。アッー!ではない。

入札に前後してどのゾーンが売られた買われたとか、入札でこの業者がガッツリ落札したとか、そういった情報を色々とこねくりまわしてると、誰がどんな売買をしてるかってのはある程度は想像が付くものです。また、債券ディーラーという人々は、同業のディーラーやブローカーと常に情報交換をしていますので、そのやり取りからも何となくは想像がつくものです(当然ですが誰が何をいくら売った買ったなんてことは言えませんが)。

といったところで冒頭の結論に戻ってきました。債券売買の手口は「推測はできるけど、集計データ等はない」ということです。
Twitterでもざっくりお答えしましたが、加筆して記事にしてみました。相対取引って何でもアリみたいな怪しげなイメージも持たれかねないですが、要はこういうことなんであります。

2012年2月23日木曜日

妄想:20XX年

足元、ドル円で3桁に迫る円安の進行を好感し、日経平均株価は20,000円が射程圏内に入っている。長期金利は細かな上下を繰り返しながらも1%台後半へと上昇、なおその基調は続いている。2000年代後半にギリシャを発端として勃発したソブリン危機は各国中央銀行の流動性供給政策を受けて鳴りを潜め、市場は日を追うごとにリスクオンの色を強めていった。日本国内のマーケットでは、確かにそう見えていた…。



なんてのはまぁ3秒で思いついたフィクションです。


欧州発のソブリンクライシスが叫ばれて早数年。最近ではJGB暴落論も若干ささやかれていますね。まぁ外野を中心としてね。色々とアレな論調も多いわけですが…。


JGBのクレジットが崩れたときって何が起こるだろうか、なんてふと妄想を働かせて考えついたのが冒頭の文章です。

JGBの信任が崩れるのと利上げとどっちがどうだと言われると、どちらかというと前者の方が早そうな気がします。全くの当てずっぽうだけど。そのとき市場参加者は何を考えるのか。


「長いゾーンが安い。デュレーション長期化じゃい!」


足元金利の低位安定という前提が変わらなければ、市場はこのように考えるんじゃないかなぁ。冒頭に書いた長期金利の描写、「細かな上下を繰り返しながら」などとわざわざ入れたのは、前提が変わらずに相場が下落したときって、まずはナンピンチャンスに見えるんじゃないかという感覚があるからです。市場の住人としてのバイアスがかかった考え方かもしれませんが。

これまでにHFなんかがJGB下落に賭けたポジションを組み、その度に返り討ちにあってきた歴史はわりと有名だと思います。JGBは内国債で国内には1500兆円の金融資産があるし、その9割以上を国内でファイナンスしてるし、日本は経常黒字なんだから安泰でしょという話もよく聞きます。経常収支に関しては最近ちょっと怪しさがでてきましたが…。

さて妄想の続き。

実はこの円安も金利上昇も日本に対する信任の崩壊が原因だったとしたら…円安を材料にした株高は実はダマシで、トリプル安に突入するとしたら…。
その時々を見れば、債券市場的には押し目買いチャンスがちょいちょい来てるように見えたかもしれない。でも気付けばだいぶ金利上がってきたよね…。


的な。


頭の体操として、こういった事態を想定するのって、結構楽しいと思うんですよね。金融バカとしては。

しかしなんかこう、金利村の住人の端くれとしては、あまり冗談ではなさそうな気がするんだよなぁ…。年末にも書きましたが、JGBの寿命って少しずつでも確実に縮まってるような気がしてます。

何とかなってるうちに、何とかしないと、どうにもならなくなりまっせ。

2012年2月14日火曜日

Tdex+炸裂

いつかは見ると思ってましたが、いざ見ると一瞬何が何だかわからなくなりますね。まずはチャート。


(出所:http://n225cme.com/jgb.html

JGB先物の5分足です。それまでのローソク足が無意味なほどぶっ飛んでるのがよくわかりますね。


(出所:http://n225cme.com/jgb.html

日足はこんなこんな感じです。どことなくビームサーベルに見えます。

タイミングとしては、日銀金融政策決定会合で10兆円の基金増額が発表されたちょっと、後でした。追加緩和策を出してきたのはちょっとしたサプライズではありましたが、これ単品では先物を70銭とか吹っ飛ばすような破壊力のシロモノではないです。

BOJ発表直後からじりじりと買われ、おうおうまだ買うかね、と思ったところで一瞬で値がすっ飛んでいきました。板はボロボロスッカスカ。付いた高値は143.37。前日比+1円ということで久々のサーキットブレーカーかと思いましたが、きっちり1円高を付けてストンと下げたので、今回はなし。後から歩み値を見たら10銭とか普通に値飛びしてました。

Tdex+炸裂であります。

こんな値動きでまず疑うのは誤発注ですが、その可能性は薄いのではないかと思いました。というのは、Tdex+システム導入当初から話題になっていたことですが、成行でドカーンと注文入れても制限値幅(20銭でしたっけ?)に達すると、未出来が自動的にキャンセルされるという謎システムだからです(株のシステムがベースですので、流動性薄い銘柄へのインパクトを抑えるための配慮と推察)。

ここからは推測の域を出ませんが、日銀の発表を受けて中期あたりからゴリゴリ買われて、先物を売ってた人達が踏みにいって、ついでにオプションやってる人達が踏みにいって、上の方に冷やかしで入れてた売り指値が付いて更にストップロスに引っかかって、という感じで連鎖したんではないかと思います。コールオプションの値段も跳ね上がってました。

わざわざご丁寧に(?)東証から債券先物が急騰場面、東証「誤発注ではないと判断」なんてコメントもでてますねぇ。

強烈な体験でした。あの急騰を叩きにいったとしても、約定する値段はいくらだったんだ、と。正直、人間がついていけるスピードではない。ついでに言うと、現物のはわりとマイペースに気配が強くなっただけでしたw 先物が明らかに異常値でしたから、様子を見てたってのもあるかもしれないですけどね。スピード感があまりにも違うことを実感します。

想定していたこととはいえ、実際に見ちゃうとなかなかのものがありますね。これで先物の流動性落ちちゃったら、去年のTdex+導入前の杞憂が現実のものに…。

2012年2月13日月曜日

【書評】ゼロ金利との闘い

ゼロ金利との闘い―日銀の金融政策を総括する
植田 和男
日本経済新聞社
売り上げランキング: 229843

90年代後半から2000年代央にかけての金融政策についての、ちょっと論文めいた一冊。

折からの金融経済環境に対応してきた結果、金利の上下操作という伝統的金融政策の自由度が失われてきたことと、不良債権問題等々を抱えた金融機関の資本制約による金融仲介機能の低下、という2つの課題に直面しつつ日銀が取ってきた金融政策運営上の苦悩。

バーナンキ&ラインハートの論文を引き合いに出し、ゼロ金利下での一段の金融緩和政策として①時間軸政策、②特定資産の購入、③B/Sの拡大を議論しているのが印象的。その中でも特に時間軸政策についてページ数を割いて解説している。
名目の金利に引き下げ余地がなくなり、時間軸を延長、その結果としてのリスクプレミアムの圧縮。これってまさに今起きてることじゃないか。

リーマンショック時に、流動性の枯渇やクレジットの爆発を経験したわけだけど、その後の構図は、本書の議論とあまり違いはないのだなぁ。政治がプアで政策効果が減衰されてしまったとさりげなくdisってる(ように読めるw)のも、今と変わらんですね。

中銀ヲチャーの端くれとして、手元に置いておきたい一冊です。

2012年2月4日土曜日

映画「マージン・コール」(ちょっとネタバレしてるので要注意)


DVDがリリースされたようなので、早速観てみました。
オフィシャルサイトはこちら→Margin Call | Official Site


「Be careful.」

この一言から始まる壮大な金融パニックストーリー。



…じゃないです、全然w
というか、そういう風には描かれてない、という感じ。


舞台はウォール街の投資銀行、ネタは住宅ローン債券のMBS。観てればわかるんですが、どことなくリーマンをモデルにしてる感があります。

アセットを過剰に抱え込み、価値が目減りすると会社を吹っ飛ばすほどの損失がでることがわかってしまったのでさぁ大変。エラいさんが集まって夜通し会議した結果、全てのポジションをブン投げるという苦渋の決断を下す。そのプロセスが話の本筋です。

全体通してピリッとした緊張感が漂い、一気に観れちゃいます。某お金は眠らないウォール街映画とは違ってそこがいいですね。キャラクターそれぞれが結構な社畜感を醸し出してるのも、いい感じですw

でも、マーケットに大混乱をもたらすであろうブン投げシーンはもっと盛大に描くべきじゃないかな、と思いましたね。ものの数秒であっさり終わっちゃって、それまでの緊張感がきれて、尻すぼみにエンドロールが流れます。ラストは「えぇっ!?」って声が出ちゃいました。ハゲタカのクライマックスぐらいの雰囲気が欲しかったかな。


金融屋としてはヒリヒリするような緊張感を映画として楽しめましたが、まぁこれは一般公開はされないわなぁという感じw

予告編冒頭に出てくるリストラされちゃうおっちゃん、どことなくバーナンキに似てる気がするのは気のせいでしょうかね。あと主人公というかサイエンティスト上がりのアナリストが、パックンに似てる。結論としては、デミ・ムーアロング。

2012年1月16日月曜日

カーブで遊ぶ



債券のディーラーはそりゃ毎日飽きもせず債券を売買しているわけですが、その手法のひとつに「カーブプレイ」なるものがあります。イールドカーブが寝たり(フラット)起きたり(スティープ)するのを利用して儲けましょうというやつです。


※データは適当

要するにカーブの中で割高ゾーンをショートして割安ゾーンをロングするという、一種のアービトラージみたいなもんですね。


※データは適当

このチャートは各年限ごとの利回りのスプレッドの推移の例。単位はベーシスポイント(1bp=0.01%)です。値が大きくなるほどカーブがスティープ、小さくなるほどフラットしているということ。
5y-10yのカーブはこのチャートの期間の中では下限レベルまでフラットニングしているということで逆張りの5yロング10yショート、とか、10y-20yはまだフラットする余地がありそうだから10yショート20yロング、とか、このふたつを組み合わせて5y-10y-20yでポジション作るとか、そんなことを考えるわけです。また7y-10yのスプレッドがあまり動いていない部分はつまり、7y(≒先物)と10yがパラレルに動いているということです。

毎日毎日、血眼になって割高割安を探しにいっちゃぁポジション作って、カーブの動きに一喜一憂して、時には自分に不利な方向にカーブが動いて股裂き食らったりしてるわけです。身体に悪いお仕事ですよw