じゃぁ、何がツイストするの?
って話ですが、答えを言ってしまうとイールドカーブです。イールドカーブとは何かってのは
イールドカーブは通常(?)右肩上がりの曲線を描きます。日本も米国もドイツも右肩上がりのカーブです。ギリシアとかはまぁアレなんでひとまず無視してください。
@mazyoshiさんの#investudyに米国債のカーブが載ってたので引用がてらリンクしておきます。2番目の図、ご覧の通り右肩上がりですね。
さて
イールドカーブの傾斜がきつくなることをスティープニング、カーブが寝ることをフラットニングといいます。イールドカーブがスティープするということは、残存期間が長い債券が売られて利回りが上昇することで発生します。。フラットニングはその逆。
オペレーション・ツイストが実行された場合に目指すのは、米国債のイールドカーブをツイストフラットさせることです。オペレーション・ツイストの解説として「残存期間の短い債券を売却し、より長い債券を購入する」などという表現がされていますが、これがまさしくツイストフラットニングのアクション。
短い債券を売ることで利回りが上昇し、一方で長い債券を買うことで利回りが低下する。イールドカーブの動きを想像してみると、捻れるようにしてカーブがフラットニングしています。つまりツイストフラット。
FRBは既に金融緩和政策として債券の買入を行っており、そのB/S上に多額の債券を保有しています。オペレーション・ツイストを行うのであれば、FRBの保有債券のうち残存期間の短いものを売却し、より長い債券を市場から買い入れるというアクションにでます。
この世界には「中央銀行には逆らうな」という言葉がありまして、かつ、「次なる一手」を織り込むようにして、米国債のカーブは順調にフラットニングしてきています。
債券ディーラーがここで何をしているかといえば、オペレーション・ツイストを織り込む過程で更にカーブがフラットニングする方向に賭けて中短期債ショート長期債ロングのポジションを作る、あるいは、既に織り込んだものとして逆張りで中短期債ロング長期債ショートのポジションを作る、なんてことをやってるわけです。前者をフラットナー(あるいはフラットニングポジション)、後者をスティープナー(あるいはスティープニングポジション)とか言います。こういったイールドカーブの変動に賭けてポジションをとることをカーブプレイなんて言ったりします。
米国債利回りは無料のBloombegアプリ等で見れますが、注意深く見ていますと、10年債や30年債の利回りは低下(債券価格は上昇)しているのに2年債利回りは小幅に上昇(債券価格は下落)していることが最近ではよくあります。まさにツイストフラット。フラットナー優勢ですね。
長いゾーンの金利低下を促すことによる景気への波及効果のトランスミッションメカニズムについては、祇園さんのブログを参照されたし。とまぁ丸投げもアレですので一部引用しますと
”モーゲージ金利を低く抑えることで、新規購入の望みは薄いものの、リファイナンスは促進される。モーゲージ金利負担が軽減されれば、消費にもいくらかの効果が出てくる可能性もある”
という話でありますよ。
さてさて
現状でもFRBは緩和的な金融政策を堅持しているわけです。FRBが短い債券の売却に走るとはいえ、中短期ゾーンの需給を破壊してマーライオンを引き起こすことなど狙ってはいないでしょう。ツイストフラットを目指す、とは言いましたが、そのツイストアクションはおそらく、中短期ゾーンの利回り上昇幅よりも大きな長期ゾーンの利回り低下を導くものと想像します。
多少のぶれを除外すると、ただのブルフラットニングじゃねぇかというツッコミが飛んできそうですね。ブルフラットってのは債券が上昇するなかで長いゾーンの金利が低下するカーブアクションのこと。
ではなぜ、FRBが「短い債券を売って」長い債券を買うという面倒なことをするのではないかと想像されているのでしょう?
勘のいい方はそろそろ気付いてると思いますが、買いの一方で売りを行うということは、ポートフォリオ全体の規模は維持されることになります。ポートの中身だけが入れ替わり、ポート全体のデュレーションが長期化することになります。FRBのB/Sのサイズは維持されることになりますわね。
これって、FRBのB/S拡大は更なる次の一手として温存してるのかなぁ。なーんて邪推をしてみるテスト。チンピラ債券ディーラーの戯言ですのであまり真に受けないように。
しかしまぁ、カーブを手前から潰していくなんて動きをみると、どっかの国を想起せざるを得ませんなぁ。「長めの金利の低下を促す」なんて某日系の中央銀行みたいじゃないかw