2011年5月14日土曜日

そんな市場で大丈夫か?

大丈夫じゃない、問題だ(´・ω・`)

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まずはリンクのご紹介。。。

厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

朝のドラめもん

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昨日(2011/5/13)の昼に日本は全世界に向けて恥を晒したわけですな。
厭債害債さんはソッコーでエントリを書いていたし、平日オンリーのドラめもんさんも土曜版を特別更新するような由々しき事態なわけですよ、これは。


まずはドラめもんさんも引用されていたBloombergニュースから

"枝野氏は金融機関が3月11日の東日本大震災前に東電に対して行っていた融資の債権放棄が一切なされなくても公的資金の活用に国民の理解が得られるかとの質問に対し、「現時点では『民民』の関係なので発言に注意したいと思うが、国民の理解得られるかといったら、それは到底、得られることはないだろうと思っている」と語った。"

こんなこと昼に言われちゃあそりゃ後場は銀行株売られますよ…てかそんなレベルの問題ではござんせん。

東電て100%減資とかしないんでしょ?上場維持の方針なんでしょ?なのに債権放棄とかそんな話が出てくるなんて意味が分からない。

企業の資金調達ってのは色々と種類がありますわね。株式を発行したり融資を受けたり社債を発行したり。
で、さっさと核心に触れるけど、弁済順位でいえば株式って融資や社債より低いんだよ。ざっくり言っちゃうと、発行体の会社がつぶれたときに、出したカネを返してもらえる順位が低いってこと。優先順位低いの。金融機関で働いてる人間だったら知ってなきゃいけない話だし、株式投資をしてる方も当然ご存知でしょう。法律とか経済とかその手の授業を受けたことある方なら聞いたことあるかもしれませんね。お役所言葉を敢えて使うけど、それが「規則ですから」。

で、この国は今何をしようとしてるかってーと、上記のようなルールはさらりと華麗にスルーして、東電の株主は護っておきながら、それより上位であるはずの債権者には「協力」とかなんとかいってあきらめてもらいますよ、だって税金使うんだから、って言ってるわけだ。わけがワカランチ会長ですよ。
まぁ詳細なツッコミに関しましては冒頭にリンクした著名ブログのエントリを全力回覧ということにしてw

債券屋として思うことを少々。

東京電力を始めとする電力各社が発行する社債ってのはJGBや地方債なんかに次ぐ安全資産と見なされてたわけです(JGBが安全かどうかの議論はここではひとまず無視ねw)。社債の中では最上級の扱い。だから全国津々浦々の投資家さんが保有しとるわけです。銀行信金農協から年金から投資信託から何から。

融資なんかが「協力」させられるとなったらじゃぁもしかして社債も…って思ったところで
”経産相、東電賠償への協力「株主も社債保有者も当然入る」”なんてヘッドラインがQuickに流れる。(ドラめもんさんも書いてるが、この発言はネット上では見つからない)

(ノ∀`)

東日本大震災が起きて原発が逝って東電債がブン投げ祭りになってCDSがごいーんとワイドニングしたのは記憶に新しいところ。ハラ決めて売らずに我慢してた投資家さんの中には、こりゃもう無理だ売らなきゃってなる人も出てくるんじゃないか?

債権放棄ってことは当然ながら債務者区分として破綻懸念先とかの扱いになるよね。震災以降、電力債の起債も出来ない状況が続いてる。時間が流れりゃ融資の返済だって社債の償還だってやってくる。社債だけでも兆の単位の発行残高があるわけだけど、もうそのへんのリファイナンスなんてまぁ考えただけで涙がちょちょ切れる。市場ではまず無理でしょ。
政府保証付電力債なんてウルトラC使ったとしてもその保証してる政府がアレではまぁ…と僕は思いますよ。今んとこJGBや政保債にクレジット崩壊の兆候はないけども。

震災後の祭りで東電債をブン投げたのは恐らくは他人勘定だと推測するけど、我慢して保有してる人もいるんじゃないのかなぁ。日銀も買入オペの対象に認めてたし、賠償スキームではどうやら社債の元本毀損は避けられそうだと目されていただろう。希望も含めて。
その一縷の望みの糸があっさり切られそうになってるのが現状。元本はカットされそうだしリファイも厳しい。その上、政府は弁済順位なんていう金融市場のごく当たり前のルールすら反故にする。

東電債なんか持ってられるかヴォケ!!!!!という投資判断も出てきて不思議はない。

原発が逝った直後は完全No Bid状態だった東電債も次第にT+500とか600とかのBidが立ち始めて、年限にもよるけど足元では150とか200とかまでマーケット落ち着いてきてた。まこれもまたワイドになっちゃうよねぇ。

ちなみにここで挙げてる数字は東京電力債の対国債のスプレッドであってCDSの値ではない。地方債や社債などの国債以外の債券、すなわち一般債については、その発行体の信用力に応じた上乗せ金利(スプレッド)を国債の利回りに乗せて売買をします。T+200ってのは国債利回りに200bp(1bp=0.01%)という意味。

信じられるか?震災前の東電債はT+10のないようなスプレッドだったんだぜ…。


とまあ勢いに任せて書きなぐってみました。記録という意味もこめて。
一番頭にきてるのは、金融市場の基本的ルールを政府がひっくり返そうとしてやがること。僕が海外の投資家だったらこんな国には安心して投資できないし資金は引き上げたくなる。今後、そうした動きも実際に出てくると思う。

もちろん、社債のカットも債権放棄の件も現時点では決定項ではない。浜岡で味をしめた政府の恫喝にすぎない。債権放棄なんか応じたらそれこそ銀行なんかは預金者等々に対する背任行為だろう。こんなのがまかり通っては日本の金融はマジで崩壊するよ。香港かシンガポールにでも職探しせんといかんねホント。

市場に身を置く者であればこの怒りや不安は共有できると思うが、そうでない人たちはどう思ってるのだろう?そもそも債権放棄だなんだと言い始めた政府の言い訳は「公的資金注入について国民の理解が得られない」という理屈だ。理屈にもなってないような理屈だが、果たして本当に「国民の理解は得られない」のか?そう思ってるのは政治屋さん達だけだったりしてね。まぁ彼らを選挙で選んだのは我々国民なわけだけど…。

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